情報BOX 【 知って得するサイバーセキュリティ講座 】
第17回情報漏洩対策
2013年3月26日
サイバーセキュリティを実効性のあるものにするには、システムを導入するだけではなく、人財教育を含めたソフト面の充実が必要です。必要に応じて、人事や法務との連携のもとに、労務規定や契約内容の見直しを行なうケースも出てきます。
最も重要なことは、セキュリティ事故は必ず起こるという認識を共有し、事故を前提とした体制を作ることです。
情報分類
情報漏洩に対する対策において、アクセス管理を徹底することは最も基本的で、かつ重要な対策です。
まず、情報のアクセス頻度や重要度などの「可用性」、公開・非公開・機密・極秘などの「機密性」、変更履歴の管理の必要性などの「完全性」など、情報セキュリティに対する要求の観点から、「情報分類」を行います。この「情報分類」を行った結果から、情報にアクセスできる権限者を限定するようにします。
必要に応じて、情報が保管される場所や、暗号化や認証システム、アクセス手順に関する規定を設けて、情報を適切な管理のもとで取り扱う環境を用意します。
たとえば銀行の場合は、物理的に厳重に管理された閉じた環境で、限られた職員が厳密なアクセス手続のもとに情報を取り扱うことが求められます。一方で営業職の場合は、顧客情報等をノートパソコンに入れて持ち出さざるを得ないため、端末が紛失した場合に備えて指紋などの生体認証や、ハードディスク・ファイルの暗号化などの情報漏洩対策を行う必要があります。
アクセス管理の強化
一人につき1アカウントを徹底し、情報にアクセスしたユーザが誰か、アクセスログにより監査(不正利用がないか確認)できる体制を確立しなければなりません。アクセス管理を強化することで、社員による不正アクセスや悪意を持った情報漏洩に対する心理的抑止力の効果が期待できます。
まれにユーザ管理業務を簡略化するために、業務に使用するパソコンやサーバ、業務システムやデータベースなどのアカウントとパスワードを、複数のユーザで共有する場合がありますが絶対に避けなければなりません。
知ってはいても、なかなか実行することが難しいのはパスワード管理です。社内システムのパスワードと、社外に存在する様々なWebサイトのパスワードに同じものを使うのは論外です。定期的に変更することで、パスワードの安全性を保つ必要があります。
より強固なアクセス管理と認証が必要な場合は、認証ソリューションの採用を検討することをお勧めします。USBに差すキーにより、ワンタイムパスワードと呼ばれるアクセスするたびに異なるパスワードを使って認証する製品があります。このような認証ソリューションを使うことで高いセキュリティを実現し、パスワードを記憶するという煩わしさから解放されることができます。
当社製品『Magipass(マギパス)』も認証ソリューションです。
当製品の詳細はこちらをご覧ください。→http://www.magipass.jp/
◆ 次回は「メールの添付ファイル禁止とファイル送信サービス」についてお届けします。
セミナー講演のご依頼・お問い合わせはこちらから。
過去の記事一覧
- 2011年11月1日 第1回 サイバースペースのセキュリティ
- 2011年12月20日 第2回 なぜサイバーセキュリティが必要か?
- 2012年1月25日 第3回 サイバーセキュリティの意義
- 2012年2月29日 第4回 エラーとバグと脆弱性
- 2012年3月23日 第5回 権限と脆弱性
- 2012年4月12日 第6回 人間の持つ脆弱性
- 2012年5月24日 第7回 サイバー攻撃を受けたら何をするべきか【1】
- 2012年6月27日 第8回 サイバー攻撃を受けたら何をするべきか【2】
- 2012年7月26日 第9回 サイバー攻撃を受けたら何をするべきか【3】
- 2012年8月22日 第10回 サイバー攻撃を受けたら何をするべきか【4】
- 2012年9月19日 第11回 汎用ソフトウェアの脆弱性対策
- 2012年10月17日 第12回 ゼロデイ攻撃・標的型攻撃と新型ウイルス対策
- 2012年11月21日 第13回 Webアプリケーションの脆弱性対策
- 2012年12月19日 第14回 Webアプリケーションのセキュリティ設計
- 2013年1月23日 第15回 サイバーセキュリティを実現する
- 2013年2月20日 第16回 デジタルフォレンジックスの導入
- 2013年3月26日 第17回 情報漏洩対策
- 2013年4月24日 第18回 メールの添付ファイル禁止とファイル送信サービス
- 2013年5月22日 第19回 私物モバイル対策(BYOD対策)
- 2013年6月19日 第20回 新型サイバー攻撃には多層防御で対抗する
- 2013年7月23日 第21回 マスコミ社会から口コミ社会へ
- 2013年8月22日 第22回 批判にさらされる企業
- 2013年9月26日 第23回 サイバースペース上での企業の責任を知る
- 2013年10月23日 第24回 顧客の情報を預かる責任
- 2013年11月20日 第25回 個人情報取得のポリシー
- 2013年12月18日 第26回 即応性の危機管理広報
- 2014年1月6日 第27回 情報という経営資源を守れ
- 2014年2月19日 第28回 利用者中心のサイバーセキュリティへ向けて
- 2014年3月13日 第29回 安全・安心なサイバー社会の実現(最終回)