研修室ブログ

日々スキルアップや自己研鑽に励む社員や、それをサポートする講師・間接部門スタッフがその日常をつづります。

樹脂設計(ヒケ)
2018年12月6日(木) 樹脂製品の設計においては、「意匠面」と「取り付け側」があり、基本的には意匠面を「キャビ側」、取り付け面を「コア側」と呼びます。そして、コア側にアンダーを成形するためのスライドを設定し、そこに取り付けを作るのが一般的です。
板厚の薄い箇所へ取り付けが接地する場合、「ヒケ」が出ることがあります。ヒケとは樹脂の急激な板厚の変化による熱収縮の違いで凹んでしまうことを言います。一般的な回避策として、着地する板厚の三分の一に留めておきます。具体的には、最近の樹脂の一般的な板厚は2.5~2.2mm程度ですので、着地箇所の板厚を0.7mmで設定します。しかしながら、全体が0.7mmのままでは剛性が無くなってしまうので、根元の2mm程度を肉盗みします。よって図面値は0.7mm±0.2ですのでmin0.5mmで作成し、納品までに剛性などを見ながら調整していきます。それでも樹脂の流れ方向や表面処理によっては、ヒケが目立ってしまうことがあります。
「ピアノブラック」と呼ばれる艶がある黒やメッキなどはハイライトも通りやすく、ヒケが目立ちやすい傾向にあり、更にボスの着地の仕方を工夫するといった対策をしています。どんな高級品でもヒケがあると安っぽく見えてしまうため、機能優先でない場合は特に注意しながらの設計となります。
筆者:T.H.(機械設計エンジニア) タグ:機械設計